ファミコンの開発責任者を務めた任天堂統合開発本部アドバイザー/立命館大学大学院先端総合学術研究科教授の上村雅之氏は英国・シェフィールドの国立ビデオゲーム博物館の公演で、米国版ファミコン「NES (Nintendo Entertainment System)」の設計が日本のファミコンと大きく異なる理由について語りました。
NESは本質的にはファミコンと同一なものの、本体やロムカセットが日本のファミコンとは大きく異なる設計となっています。ファミコンのロムカセットをNESに挿すことは物理的に出来ませんし、その逆も然りです。
上村氏はこうしたファミコンとNESの設計の違いについて「日米の環境の違い」を踏まえたものである事を明かしました。
ファミコンはロムカセットを内部のハードウェアに直接接続する設計であり、これは多湿な日本では問題となりにくいものの日本より湿度の低い米国では静電気などによりショートするおそれがあるとのこと。テキサス州などの極めて乾燥した地域や米国のライフスタイルを象徴する広いリビングルームに敷かれるラグが静電気を発生させるおそれがあることを踏まえ、ビデオデッキのようなフロントローディング型の設計を採用したとのことです。
またファミコンの2コン (2Pコントローラー) に採用されているマイクがカラオケ用である事を明かした上でこれがNESで採用されなかった理由としては「カラオケ人気」が影響したことを明らかに。当時米国でリリースされたバンダイのカラオケゲームの人気が “全く無かった” 事が影響し、NESでのマイクの採用を見送ったとのことです。
本体デザインや「Nintendo Entertainment System」という名称については当時「アタリショック」により家庭用ゲーム市場が崩壊状態にあった状況を踏まえ、ゲーム機ではなく “エンターテイメントシステム” という位置付けでのブランディング (ビデオデッキのような本体デザインもその中で誕生) を行うために生み出されたものであると明らかに (これは以前よりゲームファンの間で語り草となっている情報でもあります)。
なお今回の上村氏の公演内容全文についてはnintendolifeが近日中の公開を予告しています。
NES Creator Reveals The “Shocking” Story Behind That Infamous Flap
nintendolife
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