キズナアイとホロライブプロダクションに”共通の流儀” 演者/ボイスモデルのプライベートには関与せず

この度 バーチャルYouTuber (VTuber) キズナアイ を運営するキズナアイ株式会社 (Kizuna AI Inc.) と、VTuber事務所 ホロライブプロダクションを運営するカバー株式会社のVTuberに対する姿勢に、ある “共通の流儀” が見られることが分かりました。

キズナアイ / ときのそら
© Kizuna AI / 2016 COVER Corp.

「キズナアイは自我を持ったAIというバーチャルな存在」

キズナアイ社は2022年 (令和4年) 3月11日、同社が運営するバーチャルYouTuber (VTuber) キズナアイに関する報告及びお願いを発表しました。

キズナアイに関するご報告とお願い

現在webメディアや動画コンテンツ等においてキズナアイの名前やビジュアルが無断で使用されており、さらにキズナアイの世界観を壊すような表現が用いられていることは非常に遺憾であり、困惑しております。

キズナアイは自我を持ったAIというバーチャルな存在であり、性別もございません。これ以上エスカレートするようであれば、キズナアイを守るために然るべき対応を行って参ります。

今後ともキズナアイへのご理解、ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

2022年3月11日
Kizuna AI株式会社

この同社の発表内容は、VTuberスタイルを採用したグループ「すとぷり」メンバー兼運営会社の代表取締役 ななもり。氏の不倫に関するスキャンダルを巡り、同氏の “婚約者” とされる内縁の女性がキズナアイの演者/ボイスモデルを務める春日望氏ではないかとする見方が一部報道で浮上したことを受け、キャラクターと演者/ボイスモデルが同一視されがちな現在主流とされる配信系VTuberとは異なり “キズナアイというキャラクター” と “演者/ボイスモデルを勤める人物” を明確に区別する方針であることを改めて示したものであると考えられます。

そしてこの “キズナアイは自我を持ったAIというバーチャルな存在” という同社の姿勢…いわばキャラクターと演者/ボイスモデルを分けて考える “流儀” は、一見キズナアイとは異なる方向性を指向しているように映る ホロライブプロダクションを運営するカバー社の姿勢にも見られる模様です。

「所属タレントのプライベートは本人に一任」

カバー株式会社は2月14日、同社が運営するバーチャルYouTuber (VTuber) 事務所 ホロライブプロダクション所属の潤羽るしあ (契約解除済み) に関する報告を発表しました。

弊社所属タレント『潤羽るしあ』に関するご報告

平素よりお世話になっております。このたびは、関係各所の皆様、ならびにいつも応援していただいているファンの皆様に大きなご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。

弊社所属タレント『潤羽るしあ』につきまして、弊社タレントのプライベートは本人に一任しております。また、本件に付随して、配信やSNSでの誹謗中傷や捏造により、『潤羽るしあ』本人のみならず他の所属タレントにおきましても精神的負担を受けておりますので、当該行為はご遠慮くださいませ。

なお、『潤羽るしあ』の一連の話題に関しましては、第三者への事実と異なる情報の流布ならびに業務上のやり取りを含む情報の流出が見受けられたため、対応方策を含めて現在社内協議中です。

本件発生時より弊社内にて対応を行わせていただいておりましたが、現状把握および調査に時間を要し、本件まで発表が遅れましたことをお詫びいたします。

大変恐れ入りますが、引き続きよろしくお願い申し上げます。

2022年2月14日 (月)
カバー株式会社

本件は結果的に 潤羽るしあが同社との契約違反行為や虚偽申告などの信用失墜行為を行ったとして契約を解除されておりますが、潤羽るしあの演者/ボイスモデルを務めた みけねこ氏に関しては「弊社タレントのプライベート (演者/ボイスモデルの個人的活動に相当すると考えられます) については本人に一任」するとしております。

これより同社は “潤羽るしあというキャラクター” と “演者/ボイスモデルを勤める人物のプライベート” の取り扱いを区別する一線を定めていることを示している形となっており、その厳格さにおいて差異はあるものの、キズナアイ社の方針と共通の 「演者/ボイスモデルのプライベートには関与しない」という “流儀” をタレントのプロデュースにおいて据えていることがうかがえます。

どちらも同じ「VTuber」根底に流れる共通の方向性

キズナアイは今日1万人以上を数えるVTuberの始まり (ウェザーロイド Type A Airiなど、キズナアイ以前より活動するタレントを除く) 的存在であり、また黎明期のスタイルを生み出した先駆者として知られております。

一方でホロライブプロダクションは現在VTuber業界において主流となっている配信系の活動に加え、2020年 (令和2年) 頃よりアイドル路線へと梶を切り活動の範囲を拡大。世界最大規模のVTuber事務所へと至っております。

一見大きく異なるように映る両者ですが、前述のようにその根底にはVTuberに対する “共通の流儀” をうかがい知ることが出来るように見えます。

なおかつて キズナアイを運営していたActiv8社と ホロライブプロダクションを運営するカバー社は、XR事業を手掛ける株式会社gumiの出資を共に受けていた関係にありました (2022年3月現在は不明)。

なおこのgumi社の出資先にはVTuber事務所 Re:Act (リアクト) の株式会社mikaiなども名を連ねております。

一方で にじさんじの旧いちから社 (現 ANYCOLOR社) や .LIVEのアップランド社は含まれていないとされており、両社はキズナアイやカバー社、mikai社とは資本関係において距離がある可能性も考えられます。

この資本関係が現在の人や企業、そしてVTuberタレントプロデュースの方向性にどの程度の影響を及ぼしているのかは不明ですが、仮に現在のキズナアイやホロライブプロダクションを構成するVTuber事務所・運営企業の根底を共有しているとするのであれば、両者は今後のVTuber業界を、根底における共通の “流儀” において推進していく可能性があることでしょう。

2022年2月開催のキズナアイのラストライブには ホロライブプロダクションからはときのそら (キズナアイと同時期に活動を開始) がメッセージを送るにとどまっておりましたが、いつの日か キズナアイやときのそらをはじめとするホロライブプロダクション所属タレントが会する機会が訪れることも期待したいところでしょう。

(第2チーム/バーチャル・メタバース・VTuber・ボカロ・初音ミク情報)

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