この度任天堂のゲームソフト スプラトゥーン3による規約違反疑いの配信 (通称”AVスプラ“) に参加し、YouTubeより規約違反でチャンネル (アカウント) を停止されたVTuber 息根とめるに関連し、同タレントの所属するグループ「深層組」への注目も集まっております。

“深層組領袖” ディープウェブ・アンダーグラウンド (DWU)
深層組は2020年 (令和2年) 10月にVTuber ディープウェブ・アンダーグラウンド (DeepWebUnderground/以下 DWU) により設立されたグループとなっております。
DWUは2018年 (平成30年) 4月にデビューした古参お嬢様系VTuberで、挨拶は「深層ウェブからご機嫌よう」。初期の動画では (当時社会問題化していた違法漫画閲覧サイト「漫画村」に対し)「燃やします」と発言し、翌日には実際に漫画村が閉鎖に追い込まれるという出来事が発生したことで一躍有名になったこともありました。
なお実際は運営スタッフ (呼称 セバスチャン) より漫画村がダウンする日の情報を入手し、デビューのタイミングを合わせたことを後に告白しております。
その活動スタイルから大手タレントには出来ない方向性に切り込んでおり、成人向け業界とのコラボレーションや自分自身を題材としたアダルトビデオのリリースまでも行っておりました。
2020年 (令和2年) 5月には運営スタッフとの不和に伴い、個人勢としての独立を発表。そして同年10月には現在のグループ「深層組」を設立するに至っております。
一癖もふた癖もある所属タレント
深層組は後述する DWUの活動内容やその設立経緯、様々な過去を抱える所属タレントの面々により、アウトロー派グループとしてコア層を中心に支持を集めております。
なまほしちゃんは2019年 (令和元年) 9月にデビュー。同グループの設立以前より DWUの妹分的存在として活動しており、当初は生活保護を受けるなど困窮していたものの、VTuber活動によって生活が安定したことを明かしております。
クリエイターエコノミーラボ – note
“AVスプラ”問題によりその言動が注目されている 息根とめるは2021年 (令和3年) 4月にデビュー。いわゆる”毒親”の災禍に見舞われており、そこからの自立を目指すためにVTuber活動を開始した複雑な経緯があるものの、同情だけでは見られない本人起因の問題を抱えている模様で、それらが過去の問題点やこの度の”AVスプラ”問題へとつながった可能性も否定出来ないことでしょう。
生返るるるは2021年8月にデビュー。DWUとのトークで前世 (以前活動していたVTuber) が 牡丹きぃであることが判明しております。
牡丹きぃは2019年1月、Twitterアカウントにて所属する運営会社への不満を告白。更に 投げ銭の収益全てを奪われている、やらせ企画を行わされている、反社会的組織である等と明かし、当初は 牡丹きぃに同情的な声が寄せられていたものの、後に運営側の声明によりこれらが虚偽であることが発覚し炎上へと発展。他タレントとの問題も浮上するなどした末に、4月に引退を発表しました。
当時のVTuber業界では多くの視聴者・ファンの皆さんを抱えるタレントの主張に同情的かつ、一方で運営側を悪とする風潮が強いものとなっておりましたが、牡丹きぃの言動はそうした風潮を逆手に取ったものであったと考えられております。
この”牡丹きぃ事件”は当時のVTuber業界屈指の炎上事件として、視聴者・ファンに近いタレント側の主張のみを鵜呑みにする過ちへの教訓として、現在も語られるものとなっております。
他、同グループには 寧々丸 (2020年5月デビュー)、クッコロ・セツ (2021年5月デビュー)、小城夜みるく (2021年12月デビュー)、従井ノラ (2022年1月デビュー) が所属しております。
深層組は現在のVTuber業界を写し出す鏡
こうした設立経緯や所属タレントを抱える 深層組。良くも悪くも他にない個性的な面を持っておりますが、これらを鑑みれば”AVスプラ”問題のような事件が起きても不思議ではないものと考えられるでしょう。
一方で近年の裁判における「アバターへの中傷は演者/ボイスモデルへの中傷」とする判例、10月からの侮辱罪厳罰化、最大手事務所 ホロライブプロダクション (運営:カバー株式会社) による誹謗中傷系VTuberへの強硬な姿勢など、深層組のようなアウトロー的スタイルが難しい時代に入りつつあるようにも映ります。
しかし、そうとは一概に言い切れないようです。前述の ホロライブプロダクションに次ぐ大手グループ にじさんじ (運営:ANYCOLOR株式会社/6月に東証グロース市場上場) 所属の ましろのYouTubeチャンネルの停止と再開を巡る問題など、未だに大手であってもその様なことを行っているのが現実でもあります。まして「時が過ぎ去れば水に流される、上場すれば規約違反も許される」とでも言うのでしょうか。
こうした例が無くならない限りは深層組が支持を失うことは無いでしょうし、今後も様々な規制をうまく乗り越え活動を続けていくものと思われます。今回の”AVスプラ”問題に対しても、相手が任天堂やYouTubeであるからといってスタンス自体を大きく転換することは無いのではと考えられます。
深層組の存在は、現在のVTuber業界の現実を写す鏡と言えることでしょう。
人間は愚か
DWUの発言より
公式サイト
(第2チーム/バーチャル・メタバース・VTuber・ボカロ・初音ミク情報)
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