任天堂元幹部ゲームキューブの「紫色」のカラーテーマに難色を示していた

この度任天堂の元幹部が、任天堂のゲーム機「ニンテンドーゲームキューブ」の “紫色 (バイオレット)” のカラーテーマなどに難色を示していたことが判明しました。

ニンテンドーゲームキューブは2001年 (平成13年) 9月14日に発売されたゲーム機。任天堂初の光ディスクの採用、取っ手が付いた堅牢なキューブ状の本体、最高性能よりアベレージを重視したゲーム開発に適した設計など、後のWiiやNintendo Switch (ニンテンドースイッチ) に繋がる試みが盛り込まれておりました。特に専用コントローラーはその完成度が高く評価されており、今日でも大乱闘スマッシュブラザーズ (スマブラ) シリーズを極めるマストコントローラーなどとして多くのユーザーに愛用され続けております。

この度VGCが任天堂の元幹部ペラン・カプラン (Perrin Kaplan) 氏に行ったインタビューによりますと、当初米国任天堂 (Nintendo of America／NOA) がゲームキューブのカラーテーマである紫色に反対の意向を示していたことが明らかになりました。

「私たちは実際に紫が最初から最善ではないことを示唆したが、(日本側は)「いいえ、それを使用するつもりです」と言いました。その後私たちは “黒と銀” を求めました。なぜなら米国ではこれまで誰も紫色を使用したことがなかったと思うからです」
「…別の色のハードウェアを引き出すことができなかったわけではありません。それは非常に…「女性」的な色でした。男性らしさを感じなかったのだと思います。この色だけに基づいた悪い報道を受ける可能性を懸念したので、E3では非常に緊張したことを覚えています」

更にNOAの元コーポレートコミュニケーションディレクターである Beth Llewelyn氏は、新しい家庭用ゲーム機の “紫色” が当時のソニーとマイクロソフトとの競争を困難なものにしたと回想します。

「これはアップル (Apple) よりも前のものです。近年では色を選ぶことは自らの意志を示すようなものです。しかし当時は全てのゲームシステムが黒色で、白さえも実際には広く行われていませんでした。任天堂は決してテクノロジーの話ではありませんでしたが、私たちは常にソニーとマイクロソフトの競合他社がPRの観点から行っていることと戦っていました。この紫色のボックスを持っていても、そこではまったく役に立ちませんでした」

英国任天堂 (Nintendo of UK) の元マーケティングディレクターであるドーン・ペイジ (Dawn Paige) は、ゲームキューブのターゲット市場 (Xbox及びプレイステーション2 (PlayStation2／プレステ2) 市場と同じ市場）が状況を改善しなかったことに注目しております。

「後から考えると、(Xboxやプレステ2と同じ) 同じ顧客を追いかけ、16~34歳をターゲットとした製品を真っ向から投入した競合他社と直接対決すべきではなかったと思います。たぶん、それほどチャイムを鳴らさなかったでしょう」
「…個人的にはゲームキューブが大好きでしたが、その見た目により幅広い層よりも子供向けに感じた人もいました。もし私たちが再びそれを行うことができれば、私たちはおそらく16~34歳未満であり、私たちの強みを発揮し、より明白な家族や子供たちの顧客層を追いかけているでしょう」

なお実際のゲームキューブは発売当初こそ “バイオレット” 1色であったものの、後に豊富なカラーバリエーションを販売しておりました。

現実のゲームキューブの販売は結果的に他社の後塵を拝する苦戦を喫することとなりましたが、実際に紫色のテーマカラーが影響したのかは定かではありません。競合機種と比較してのソフトラインナップや、DVDビデオ再生といった付加価値の有無が影響した可能性も考えられることでしょう。

こうしたゲームキューブの経験や教訓は、次に続くWiiや今日のNintendo Switchへと生かされていくことになります。