小森めとさんの 774inc.→ぶいすぽっ!移籍は、VTuber業界の“常識”を変えるかもしれない

VTuber 小森めとさんは、2月1日にも自身の所属する事務所・グループを 774inc.から ぶいすぽっ!に変更・移籍すると発表しました。

VTuber 小森めと 774inc.「プイアパ」解散を受けた憶測流布などに注意促す
小森めとさん
画像引用元:YouTube
1月31日まで © 2019 774inc. / 2月1日から © ぶいすぽ

両事務所の発表によりますと、小森めとさんより移籍の可能性についての相談があり、774inc.と ぶいすぽっ!の協議の上でオーディションを実施。これに 小森さんが合格されたことを受け、両事務所で話し合いが重ねられた結果、移籍が決定したことが発表されました。なお現在のYouTube公式チャンネルも継続されます。

774inc.では今回の決定を「タレント本人がよりやりたい事ができるように考えた結果の判断となりました」としております。

小森さんは同日の配信にて、今回の決定について視聴者・ファンの皆様に説明を行っております。

小森めとさんの「事務所・グループ移籍」が画期的な理由

今回の 小森さんの「事務所・グループの移籍」は、日本のVTuber業界においては画期的な出来事であると大きく注目されております。なぜならそれは、これまでの日本のVTuber業界の常識を覆す動きだからです。

日本のVTuber業界において、「卒業や引退、名前やキャラクター変更を伴わない形の大手事務所・グループ間の移籍」は異例です。大手ではない小規模の事務所・グループ間では過去にあった可能性もありますが、大手ではおそらく 小森さんが初と考えられます。

なお、過去に「個人から事務所・グループに移籍した例」は幾つかあります。今注目を集めるタレントの1人である 星街すいせいさんも元々は無所属 (いわゆる個人勢) でしたが、カバー株式会社の イノナカミュージックに移籍。現在は ホロライブに所属しております。彼女が往年の個人タレントからも尊敬される背景には、個人時代から今日まで一貫してきた努力という叩き上げのストーリーもあるでしょう。

また、海外では事務所・グループ間の移籍は珍しくなく、一例として ミオリ・セレスタ (Miori Celesta/無所属) さんが MyHolo TV から Tsunderiaに移籍するなどの動きがありました。

Miori Celesta (2022年4月8日現在)

Miori Celesta / Miori Celesta

YouTube / Twitter

黎明期、箱推しに続く“新たな流れ”が生まれる可能性

今回の 小森さんの移籍は、所属先を問わずタレントの交流が盛んだった黎明期という「第1次」、事務所・グループ単位による展開や“箱推し”といった現在に続く「第2次」に続き、VTuber業界に新たな流れを生み出す可能性があります。

それは「日本の大手事務所・グループ所属タレントは、卒業・引退して名前やキャラクターを変更 (業界用語で言う「転生」) しないと事務所・グループを変えられない」という、所属先が名前やキャラクターの権利を保有しているがゆえに当たり前となっていたこれまでの“常識”を変える可能性に満ちております。

芸能界 (特に ジャニーズ事務所や 坂道・AKB系などのアイドル系以外) では、普段のメディア出演で各タレントの所属事務所をわざわざ意識することは多くありません。吉本興業、松竹芸能、ホリプロなど…所属に関わらず同じテレビ番組に出るのは当たり前の光景です。事務所の移籍も制約は異なれど、珍しいものではありません。

そして、仮にVTuber業界が芸能界のように所属に関わらず、移籍や共演が当たり前になれば、かつてゲーム業界であった「次世代ゲーム機戦争」やメーカー間対立に類似したような、一部のVTuber事務所・グループ間の対立やそれらの煽動を消し去り、タレント個人がよりクローズアップされ、黎明期にあった「手を取り合う協調的流れ」に回帰することが出来るかもしれません。一方で現在の“箱推し”の良い面も継続されることで、第1次と第2次の良き部分を融合した流れが生まれるかもしれません。

1月29日開催の ときのそら (所属:ホロライブ/レーベル:ビクターエンタテインメント) さんのYouTube公式チャンネル登録者数100万人記念ライブでは多くの事務所・グループ所属のタレントが共演しましたが、これが黎明期によく見られた光景というノスタルジーではなく、今後再び当たり前になる可能性もあるでしょう。

※月ノ美兎 (所属:にじさんじ) さん、YuNi (所属:トイズファクトリー) さん、富士葵 (所属:Acro/ユニバーサルミュージックジャパン) さん、電脳少女シロ (所属:.LIVE) さんが出演しました。

新たな道を、切り開け

初めて道を切り開くのは怖い。手を汚す必要もあるかもしれないし、リスクを背負うことになるかもしれない。そうして果敢に飛び込んでも必ず成功するとは限らない。だから多くの人は他者が敷いた道を安全に通ろうとするもの。

今や老若男女に親しまれる日本発のアイコンになり、近年再び若い世代に広がりを見せている 初音ミクも、初めてボーカロイド (VOCALOID) 版がリリースされた2007年 (平成19年) 後半には好奇の眼差しからテレビ番組で「オタクの玩具」的な偏見に基づいて取り上げられたり、数多くのトラブルに見舞われるなど、いきなり窮地に陥りました。しかし決して挫けず、初音ミクの可能性を信じて当時のボカロファンや開発元の クリプトン社が誤解や偏見を打ち破って前進してきたことが、今日の 初音ミクとボカロカルチャーの隆盛、VTuberにも影響を及ぼすバーチャル文化へとつながっています。

それは個人から現在の ホロライブに飛び込み、「VTuberごときが」と一部から心なく罵られる中、THE FIRST TAKEでそうした誤解や偏見を自らの実力で見事跳ね返した星街さんもそうでした。

そして小森さんも、大手事務所・グループからの移籍という、おそらく日本で初になると思われる選択をし、道を切り開こうとしている。その決断は高く評価されるべきものでしょう。

今回の 小森めとさんの移籍の決断が、今後の彼女の活動と躍進に生かされることをお祈りいたします。

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(P2y.jp 管理代表者「2号さん (仮)」/バーチャル・メタバース・VTuber情報)

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