キズナアイ 中国での政治的発言”支持者”から「国愛 (民族愛)」「兄さん」の愛称を得る

キズナアイ 中国での政治的発言”支持者”から「国愛 (民族愛)」「兄さん」の愛称を得る

バーチャルYouTuber (VTuber) キズナアイが中国でこれまでにない「支持者」を得て、新たな展開を迎えていることが分かりました。

Activ8 中国語版キズナアイをYouTube公式チャンネルで公開

キズナアイTwitter公式アカウントは1月17日、中国語版キズナアイ (通称名・紗利雅 (サーリア) ) の “愛称” を突如「爱哥 (アイ兄さん)」であるとツイートしました。

Activ8 中国語版キズナアイをYouTube公式チャンネルで公開

いわゆるキズナアイ「分裂」後の各種 “愛称” は一連の問題への反発を受け目立った広まりが見られなかった (オリジナル版以外を「偽物」と呼称する “民意” が優勢) ため、その中でも中国語版キズナアイの愛称については「初耳」であった方も少なくなかったものと思われます。

中国語版キズナアイは2019年 (令和元年) 8月より、中国の動画プラットフォーム「bilibili(ビリビリ/哔哩哔哩)」にて中国キズナアイファンを「京都アニメーション放火殺人事件」の容疑者に絡めて批判したり、台湾 (中華民国) を中国領土であるとする “政治的発言” を行うなどした事で、政治的話題を忌避する多くの人々の支持を失いました。bilibili公式チャンネルの登録者数も一時マイナス20万人に迫る減少を記録しました。

キズナアイ”運営崩壊”か 尖閣諸島と台湾を中国領と政治的発言も

その後2019年 (令和元年) 10月21日、中国・浙江省烏鎮で開催の中国政府主催の見本市「ワールドインターネットカンファレンス (世界インターネット大会/WIC)」の (胡錦濤前中国国家主席系組織「中国共産主義青年団 (共青団)」主催との見方もある) サブフォーラム「ネットワーク文化と若者」にて、キズナアイが中国の大手企業「ネットイース (網易)」傘下のバーチャルタレント (网易旗下的“绊爱”) として紹介されていたことが明らかとなりました。

キズナアイ 中国企業ネットイース傘下タレントとして中国政府主催イベントにて紹介される

キズナアイ 中国企業ネットイース傘下タレントとして中国政府主催イベントにて紹介される

これ以降、中国共産党当局および政治的発言を支持する向きのある「新たな支持者」が (極めて少数ではあるものの) キズナアイに流入していた模様で、bilibili公式チャンネルの登録者数も僅かながら増加に転じることとなりました。

そして “中国当局の見解に基づく政治的発言” を行ったキズナアイが “愛国的” であるとして先ず「国愛 (民族愛)」という愛称が誕生、その後公式の愛称として「爱哥 (アイ兄さん)」が決定される事となりました。

「爱哥」検索結果

bilibili

なお中国のキズナアイファンの多くは「政治のようなセンシティブな話題を排し、純粋にキズナアイを応援していた」方々であることから、これら「新たな支持者」とその周辺の動向は中国のキズナアイファンの中でもごく一部のものである点を念頭に置く必要があるでしょう。


「国愛」「爱哥」といった “愛称” はキズナアイ自身だけではなく、そのファンの間にも「分裂」が生じている事を示しているといえそうです。

VTuberカテゴリの最新記事