苦しむキズナアイ “分裂” 版独立も再び再生数低迷 メディアも言及急減

苦しむキズナアイ “分裂” 版独立も再び再生数低迷 メディアも言及急減

苦境に向き合う形が続くバーチャルYouTuber (VTuber) キズナアイ (キズナアイ株式会社) の現状がここに来て再び厳しい様相を呈しています。

再生数 再び10万を割り込む

キズナアイ株式会社は5月8日、キズナアイに対する視聴者からの支持に大きな影響を与えたいわゆる“分裂” (#/*) 版を本チャンネルより独立させ、新たな姿と名前にて展開していくと発表しました。

しかし “分裂” 版によるYouTubeチャンネルは7月下旬より更新が滞り、チャンネル登録者数も3.5万人 (8月17日18時現在) にとどまるなど厳しい状況が続いています。8月17日には*版の活動休止が発表されました。

そして9月の動画再生数 (生放送配信・楽曲動画・特番等を除く) は再び10万を割り込むなど、“分裂” 版の独立後に一時的に回復した再生数を維持出来ず再び厳しい状況に見舞われている様子がうかがえます。結果として「“分裂” 版の独立後、再生数が回復軌道に乗る」可能性は現実では無くなりつつあります。

タイトル投稿日再生数 (概数)
怪談!?ぜ、ぜんぜん怖くないし(・_・;9月24日3万1200
ついに決定!新ED/OP発表会!!!9月21日7万4400
これ東大生でも無理なのでは!?世界の言語当てクイズ!9月18日4万5500
うるせー!!って言わないでね!!!📣📣9月17日4万8600
噛んだら消える!?ニュース早口言葉9月10日8万200
漫画動画!?あの名シーン完全再現してみた9月6日9万9000
🐈🐈🐈ねこのきもち🐈🐈🐈9月4日6万8800
英語禁止で即終了!英語喋ったら落とし穴とか余裕すぎん?www9月3日9万5000
9月26日9時現在

キズナアイ “分裂” *版の活動休止が決定

キズナアイ “分裂”版 (#/*版) の新モデルが公開

キズナアイ YouTube公式チャンネルから“分裂”#/*版が独立

VTuber関連記事 キズナアイへの言及が急減

キズナアイはVTuberムーブメント黎明期から2018年 (平成30年) までを中心に多くのYouTube公式チャンネル登録者数を獲得しており、9月26日現在もチャンネル登録者数基準によるVTuberの順位では1位を維持しています。しかしそれはあくまで全盛期における成果であり、今日では現在の人気や影響力を反映しているものとは必ずしも言い難いものであると考えられます。

そして当初はYouTuberの人気指数として「チャンネル登録者数」を重点的に捉え、「VTuberの顔かつ、最も人気のあるタレントはキズナアイである」と報道してきた各メディアも、近年のホロライブプロダクションやにじさんじといった生放送配信スタイルによる新世代の著しい成長を受けての論調へと軸足を移しつつある様子がうかがえます。

まず「VTuber関連記事において、キズナアイへの言及が急減している」点が挙げられます。これまでは「VTuberの代表格」「チャンネル登録者数1位」として先ずはキズナアイについて記された傾向がありました (まさにそれがキズナアイの強みの1つでした) が、今年2020年 (令和2年) 以降はホロライブプロダクションやにじさんじに関して真っ先に言及する報道が増加しており、キズナアイについては全く言及されない記事も珍しくは無くなりました。

特に8月以降、YouTube Liveの投げ銭機能である「スーパーチャット」の上位を日本のVTuberが占めているとの報道が相次いだこと。その多くがホロライブプロダクションやにじさんじ所属タレントであり、キズナアイのような黎明期からのいわゆる “四天王” 世代の名前が無かったという記事の内容は、それまで「今もキズナアイがVTuberムーブメントの中心的存在」と漠然と認識していた一般の皆さんにも大いにインパクトを与えるものとなりました。

YouTubeの投げ銭機能「スーパーチャット」の累計金額ランキングが発表、上位7人を日本のVTuberが占める

Gigazine

そしてホロライブプロダクションやにじさんじといった現在のVTuber業界における最大手事務所・グループのビジネスモデル、スーパーチャットを巡るトラブルや是非などその影響を取り上げる記事も相次ぎ、VTuberムーブメントが新たな時代を迎えつつある事を多くの人々へ強く印象付けるに至っています。

「なぜ日本人はVTuberに“投げ銭”をするのか」専門家集団が分析 上位16人に10億円が!

文春オンライン

世界の上位10位のうち7人が日本のVTuber。YouTube「スパチャ」で今、起こっていること

QJWeb

アニメキャラに“投げ銭”なぜしたくなる? “スパチャ”世界ランキングで日本人VTuberが上位独占! 総額8000万円超も

Abema Times

VTuberに投げ銭する30代男性 妻から「なんで私にお金かけないの?」

マネーポストWEB

そしてこれら記事においては「かつてのVTuberの代表格」「チャンネル登録者数1位」のキズナアイについて言及する記述は見られません。過去には直接繋がりの無いVTuberの話題を取り上げた記事でも見られた「キズナアイ」の文字が全く見られなくなったのです。

なお8月開催の「にじさんじ甲子園」決勝において生放送配信同時視聴者接続数 (同接数) が19万人を突破したことをはじめとして、前述のスーパーチャット以前から同接数が注目されるようになってきた事も動画投稿をメインとするキズナアイにとって逆風となっています。

にじさんじ甲子園 本戦 決勝 生放送配信同接数がVTuber史上最高となる約19万1470人に到達

トンネルの出口見えず 打開策はあるのか

キズナアイはキズナアイ株式会社設立以降、黎明期に行っていた他VTuberとのコラボレーションなどに再び取り組む様子がうかがえます。

これはかつて「親分」と周りから呼ばれた過去やおごりと決別し、現在業界を席巻するタレントに対する敬意をもって低姿勢で出直すものであるとも受け止められますが、過去の “分裂” を巡る一連の問題で失った信用や昨今の生放送配信スタイルの隆盛によるトレンドの移り変わりが重くのし掛かり、現時点では目立った好転の機会を掴めていません。

そしてこうしたコラボによる生放送配信への注目度も高くはなく、ホロライブプロダクションやにじさんじ所属タレントによる生放送配信に埋もれる結果が続いています。

唯一トップを維持するチャンネル登録者数も、今後は新世代が乗り越えていく可能性が年々高まっています。既に白上フブキ (所属:ホロライブプロダクション/ホロライブ) のチャンネル登録者数は90万人に迫っており、同グループ上位4名の合計登録者数もキズナアイを上回っています。

「かつてのVTuberの代表格」「チャンネル登録者数1位」の輝きは既に過去のものと捉え、長いトンネルを抜け出す試みを地道に探っていけるかどうか。今後のキズナアイの動向が注目されます。

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