「にじさんじ」と検索すると、田角陸CEOの名前はよく目にするものの、もう一人の重要人物についてはあまり語られることがありません。
その人物こそ、岩永太貴(いわなが たいき)です。
にじさんじプロジェクトの立ち上げから運営まで、COOとして中核を担った人物でありながら、2021年にANYCOLORを離れた後の動向はあまり知られていません。VTuber業界の歴史を理解するうえで、岩永太貴の存在は欠かせないピースだと個人的に感じています。
この記事で学べること
- 岩永太貴は1992年生まれでにじさんじを事業として形にした立役者である
- ANYCOLOR元COOとして、にじさんじの急成長期を指揮した経歴を持つ
- 2021年4月に退社後、株式会社yokazeを設立し独自のVTuber事業を展開中
- Blast ProjectやVhigh!など、Web3×VTuberという新領域に挑戦している
- アイドルグループSLEEのMBOも手がけ、エンタメ事業を多角的に展開している
岩永太貴のプロフィールとANYCOLORでの役割
岩永太貴は1992年生まれの起業家で、ANYCOLOR株式会社(旧いちから株式会社)の元COO(最高執行責任者)です。
ANYCOLORといえば、田角陸氏がCEOとして広く知られていますが、岩永太貴はその右腕として事業運営の実務面を担っていました。にじさんじプロジェクトの立ち上げ期から関わり、VTuberグループとしてのにじさんじを世界最大級の規模にまで成長させた功労者の一人です。
特に注目すべきは、彼がにじさんじの運営・事業開発の中核を直接指揮していたという点でしょう。
VTuber業界に携わってきた中で気づいたことですが、成功しているVTuber事務所には必ず「クリエイティブ面」と「ビジネス面」の両輪を回せる人材がいます。にじさんじにおいて、そのビジネス面を牽引していたのが岩永太貴だったと考えられています。
にじさんじの成長期における岩永太貴の貢献

にじさんじは2018年の本格始動以降、爆発的な成長を遂げました。
この急成長期においてCOOとして事業全体を統括していたのが岩永太貴です。VTuberの採用・育成から収益モデルの構築、さらにはグローバル展開の基盤づくりまで、多岐にわたる業務を担当していたと考えられています。
にじさんじが他のVTuber事務所と一線を画していた点は、大量のライバーを同時に抱えながらも事業として成立させた運営力にあります。当時のVTuber業界では、少数精鋭で運営する事務所が主流でした。にじさんじが「多人数モデル」で成功できた背景には、岩永太貴のオペレーション設計があったのではないかと業界では語られています。
実際、VTuber四天王の時代から現在に至るまで、VTuber事務所の運営モデルは大きく変化してきました。その変化の最前線にいたのがANYCOLORであり、岩永太貴だったわけです。
ANYCOLOR退社と株式会社yokaze設立の経緯

2021年4月、岩永太貴はANYCOLORを離れ、株式会社yokazeを設立して代表取締役に就任しました。
この退社のタイミングは非常に興味深いものでした。ANYCOLORがまさに上場を視野に入れ始めていた時期だったからです。結果的にANYCOLORは2022年6月に東証グロース市場に上場を果たしましたが、その直前にCOOが離脱するという判断は、業界内でも注目を集めました。
yokazeという社名には、どこか穏やかでありながら前に進む力を感じさせます。
岩永太貴がANYCOLORで培った経験を、自分自身の会社でどう活かしていくのか。これは多くのVTuber業界関係者が注目していたポイントです。
yokaze設立後の事業展開

株式会社yokazeのもとで、岩永太貴は複数の新規事業を立ち上げています。
Blast Project(VTuberタレント事務所)
Blast Projectは、yokazeが運営するVTuber タレント事務所です。
にじさんじでの運営経験を直接活かした事業であり、岩永太貴にとってはまさに「本業」と言える領域でしょう。ANYCOLORとは異なるアプローチでVTuber事業に取り組んでいる点が特徴的です。
大手事務所であるにじさんじやホロライブとは異なる独自のポジションを築こうとしている姿勢が見て取れます。
Vhigh!(Web3×VTuberプロジェクト)
Vhigh!は、Highball株式会社と共同で立ち上げたWeb3とVTuberを融合させたプロジェクトです。
ブロックチェーン技術やNFTをVTuber活動に組み合わせるという、業界でも先進的な取り組みです。Web3(簡単に言えば、ブロックチェーンを活用した次世代のインターネットサービス)という新しい技術領域に、VTuberのエンターテインメント性を掛け合わせようという試みは、岩永太貴ならではの挑戦と言えるかもしれません。
SLEEのMBO(マネジメント・バイアウト)
2021年には、ANYCOLORが保有していたアイドルグループSLEEのMBO(経営陣による買収)を実施し、yokazeへ移管しました。
これはVTuber事業だけでなく、リアルのエンターテインメント事業にも手を広げていることを示しています。にじさんじ時代に培ったタレントマネジメントのノウハウを、VTuberに限定せず幅広く活用していく方針がうかがえます。
岩永太貴の強み
- にじさんじCOO時代の豊富な運営経験
- 大規模VTuber事業の立ち上げ実績
- Web3など新技術への積極的な挑戦姿勢
- VTuber・リアルアイドル両方のマネジメント力
今後の注目ポイント
- Blast Projectの成長戦略と差別化
- Vhigh!のWeb3市場での展開
- yokaze全体の事業規模拡大
- 大手VTuber事務所との競合関係
岩永太貴の退社がにじさんじに与えた影響
COOの退社は、どの企業にとっても大きな出来事です。
ただし、ANYCOLORはその後も順調に成長を続け、2022年には上場を果たしています。これは、岩永太貴が在籍していた時期に築かれた組織基盤がしっかりしていたことの証でもあるでしょう。
一方で、にじさんじを離れたライバーたちの動向を見ても分かるように、VTuber業界は人材の流動性が高い業界です。経営陣レベルでの異動も、業界の成熟を示す一つの指標と言えるかもしれません。
VTuber業界における岩永太貴の位置づけ
VTuber業界の歴史を振り返ると、キズナアイに始まる黎明期、四天王時代、そしてにじさんじ・ホロライブの二大勢力時代へと変遷してきました。
岩永太貴は、この「二大勢力時代」を作り上げた張本人の一人です。
現在のVTuber業界は、大手事務所だけでなく中小事務所や個人VTuberも含めた多層的な構造になっています。岩永太貴がyokazeで展開しているBlast Projectは、この多層構造の中で独自のポジションを確立しようとしている段階です。
業界の共通認識として、にじさんじの成功は「タレント力」と「運営力」の両輪で成り立っていたと言われています。その運営力の中心にいた人物が独立し、新たな挑戦を続けているという事実は、VTuber業界全体にとって意味のあることだと思います。
にじさんじを離れた人物のその後は常に注目を集めますが、経営陣の「その後」もまた、業界の未来を占ううえで重要な情報です。
よくある質問
岩永太貴はにじさんじの創業者ですか
岩永太貴はにじさんじの「創業者」ではなく、ANYCOLOR(旧いちから)のCOO(最高執行責任者)としてにじさんじプロジェクトの立ち上げと運営を担当した人物です。ANYCOLORの創業者はCEOの田角陸氏です。ただし、にじさんじを事業として軌道に乗せた中心人物の一人であることは間違いありません。
岩永太貴がANYCOLORを辞めた理由は公表されていますか
退社の詳細な理由は公式には明らかにされていません。2021年4月にANYCOLORを離れ、同時期に株式会社yokazeを設立していることから、自身の事業構想を実現するための独立だったと推測されています。すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、スタートアップの経営陣が一定の成長期を経て独立するのは珍しいことではありません。
株式会社yokazeはどのような事業を行っていますか
yokazeは岩永太貴が代表取締役を務める会社で、主に3つの事業を展開しています。VTuberタレント事務所の「Blast Project」、Web3×VTuberの「Vhigh!」(Highball社との共同プロジェクト)、そしてMBOで取得したアイドルグループ「SLEE」の運営です。VTuberに限らず、エンターテインメント事業を幅広く手がけています。
Blast Projectとにじさんじの違いは何ですか
にじさんじはANYCOLOR株式会社が運営する大規模VTuber事務所で、100名以上のライバーが所属しています。一方、Blast Projectはyokazeが運営する比較的新しいVTuber事務所で、規模や運営方針が異なります。岩永太貴のにじさんじでの経験が活かされていると考えられますが、独自の路線を追求しているようです。
Vhigh!のWeb3×VTuberとは具体的にどういうものですか
Vhigh!は、ブロックチェーン技術(取引記録を分散管理する仕組み)をVTuber活動に応用するプロジェクトです。具体的には、NFT(デジタルデータに唯一性を持たせる技術)を活用したファンとの新しい関わり方や、分散型のコンテンツ配信などが想定されています。Highball株式会社との共同事業として、従来のVTuberビジネスとは異なるアプローチを模索しています。
