ホロライブプロダクションが迎える正念場 所属VTuberタレントの休止・体調不良など相次ぐ

この度バーチャルYouTuber (VTuber) 事務所 ホロライブプロダクションが所属タレントの体調不良に伴う休止などを受け、正念場を迎えているのではないかとの見方が浮上しております。

hololive SUPER EXPO 2022
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画像引用元:プレスリリース
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ホロライブプロダクションは2020年 (令和2年) 初頭より国内外の新規視聴者・ファンを次々獲得。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 拡大に伴う巣ごもり需要なども取り込み、これまでの中堅規模から驚異的躍進を果たすシンデレラストーリーを現実にしました。今日までの2年あまりの間で1人当たり及び事務所合計のYouTube公式チャンネル登録者数、登録者数100万人以上のタレント数、配信同時視聴者数 (同接数)、YouTubeスーパーチャット (投げ銭) 金額といった指標でも新記録を出し続け、今ではVTuber業界最大手の一角を占めるに至っております。

一方で今年4月より配信活動に支障を来す肉体的・精神的負担の増加を訴えるタレントが次々現れ、メインの活動である配信が減少する傾向に。企業からの急激な案件の増加やライブに向けたレッスン等が重荷となっているのではないかとの見方もあり、各タレントが多忙や体調不良を報告する頻度も増えているように見えます。

こうしたタレントの告白が相次ぐ状況は理解は出来るとはいえ、視聴者・ファンの皆さんにも少なからず不満やストレスを及ぼしかねないものでしょう。特にスーパーチャット (投げ銭) も行っている皆さんは「コストを払って愚痴を聞かされる」ような不満を抱くかもしれません。

ホロライブプロダクションを巡る多くの指標は依然高い水準にありこれらが直ちに崩れるとは考えにくいものの、(根強い視聴者・ファンを抱えていた 潤羽るしあの契約解除等もあり) 合計チャンネル登録者増加数やスーパーチャット金額においては上位から姿を消す週が増加するなど、成長の鈍化を示唆する傾向も見られ始めております。コロナ禍の落ち着きにより特に海外ではマスクを外した通常の生活が戻りつつあり、躍進のきっかけの1つである巣ごもり需要も過去のものとなっております。これは英語圏グループ「ホロライブEnglish (hololive-EN)」の伸びが停滞傾向にある現状ともリンクする可能性があります。躍進が始まる前は新進気鋭のチャレンジャーでも、長らく最大手の一角を占め続けたことによるマンネリ化や傲りが見られ始めたと評されれば次第に信を失うことでしょう。

一方で現状を打破する可能性を秘めた”良いニュース”も。インドネシアグループ「ホロライブインドネシア (hololive-ID)」が3月末の3期生デビュー以降きわめて好調な推移を続けており、5月からはチャンネル登録者増加数で「ホロライブEnglish」を上回る週も見られるようになってきました。こぼ・かなえる (Kobo Kanaeru) が異例の人気を博し、ベスティア・ゼータ (Vestia Zeta)、カエラ・コヴァルスキア (Kaela Kovalskia) も同グループとしては高い水準の成長を続けております。これは今後の体制立て直しに向けたヒントになるかもしれません。

現在のホロライブプロダクションが向き合う困難は、過去に企業からの案件やオフラインの催し等によりタレントの配信活動が減少し一時視聴者・ファンの皆さんが離れる苦境に見舞われた「にじさんじ (運営:ANYCOLOR株式会社)」が経験したものと類似しております。同グループは現在もこの課題への対処を試行錯誤している様子であり、最大手の一角となった事務所・グループが取り組むべき重大な問題であるという現実を突きつけます。

ユーザーのことだけを考えればいい。競合がニーズを満たせていないなら、後発でも何ら問題はない。

カバー株式会社社長 谷郷元昭 (YAGOO)

過去の谷郷氏のこの言葉は ホロライブプロダクションの躍進だけでなく、”ニーズを満たせなくなった時は直ちに崩れる“という戒めの側面もあることでしょう。仮にそうなるなら、同氏が確信するメタバースへの未来も暗雲が立ち込める可能性があることでしょう。

過去の数多あるコンテンツが巡ったようにこのまま力尽きるのか、それとも逆風を追い風に変えて更に高く飛躍するのか。同事務所と同社はまさに今、正念場を迎えております。

hololive (ホロライブ) 公式サイト

カバー株式会社

(第2チーム/バーチャル・メタバース・VTuber・ボカロ・初音ミク情報)

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