バーチャルYouTuber (VTuber) 事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社が、中国におけるVTuber事業からの撤退を進めている事が判明しました。

中国のホロライブプロダクション所属タレントのうち唯一YouTubeチャンネルを保有する希薇婭/Civia (シビア/所属:ホロライブ中国) が中国の動画プラットフォーム「bilibili (ビリビリ/哔哩哔哩)」で行った配信によりますと、カバー社は同事務所の中国グループ「ホロライブ中国 (hololive-CN)」を事実上解散し、中国市場より撤退する見通しである事が判明しました。
更にカバー社はホロライブ中国所属タレントの今後に向けたサポートも行うとしており、彼らには10月が終わる前までに「個人勢への転換」「他企業運営の事務所への移籍」「引退」などの選択を求めているとのこと。キャラクターモデルの権利も各自へ譲渡する見込みで、これを受けてCiviaは「カバー社は全てのホロライブ中国所属タレントを救済する事が出来るでしょう」としております。
この度カバー社が中国市場からの撤退を進める背景には、同社が中国共産党政府の「1つの中国」の原則を支持するとの声明を発表した一連の問題が影響しているものと考えられます。

これはホロライブ所属タレントの桐生ココと赤井はあとがYouTubeアナリティクスデータの「台湾」の記述を紹介した事により両タレントを非難する動きが中国で発生した事を受け、所属タレントの緊急的保護のために両タレントの謹慎処分と併せて行われたもので、国内外のメディアだけでなく超党派議員連盟「対中政策に関する国会議員連盟 (Japan Parliamentary Alliance on China/JPAC)」の総会でも取り上げられるなど厳しい批判を受けたものとなります。







よって今回のカバー社の中国市場からの撤退は、前述した「1つの中国」原則への支持声明に対する国内・国際世論、政界等からの批判を受け止めるものかつ、中国市場における事業展開のリスクを踏まえたものであると推測されます。また同社が中国市場から撤退する事により、「1つの中国」支持声明の事実上の無効化・形骸化を図るものであるとする見方も考えられます。
カバー社のVTuber事業は中国での成功を足掛かりに今日へと至っており、当初はホロライブ全所属タレントのbilibili登録者数がYouTubeチャンネル登録者数を上回っていた時期もありました。一方で10月現在のホロライブプロダクションは日本国内のホロライブ、英語圏向けのホロライブENがいずれも好調に推移している模様であり、更にホロライブID (インドネシア) も成長の兆しが見られます。こうした当初と異なる状況も中国市場からの撤退へ舵を切る決断を後押しした可能性が考えられるでしょう。
10月23日現在、ホロライブ中国には前述の「希薇婭/Civia」に加え「夜霧/Yogiri」「黒桃影/Spade Echo」「朵莉丝/Doris」「阿媂娅/Artia」「罗莎琳/Rosalyn」の6名が所属しています。
中国市場ではVTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営するいちから株式会社もにじさんじとは異なるプロジェクトとして「VirtuaReal」を展開しております。
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