カバー社 谷郷元昭社長・金子陽亮CFO 上場会見の要旨 ホロアースは2024年立ち上げ方針

カバー社 谷郷元昭社長・金子陽亮CFO 上場会見の要旨 ホロアースは2024年立ち上げ方針

カバー株式会社の 谷郷元昭 (愛称 YAGOO) 代表取締役社長・CEOと、金子陽亮CFOは2023年 (令和5年) 3月27日、同社の東京証券取引所 グロース市場への上場を受けた会見を行いました。

カバー株式会社 COVER Corporation ホロライブプロダクション hololive Production
カバー株式会社/ホロライブプロダクション
画像引用元:プレスリリース
© 2016 COVER Corp.

以下、各メディアで報じられている両氏の発言内容要旨を引用いたします。欧米金融不安やウクライナ情勢など、市場が不安定な中での上場及び、同じVTuber事業を行う ANYCOLOR社との比較、海外展開に関する質問が多く見られた模様です。

上場会見:カバー<5253>の谷郷社長、海外の熱量を高める

CAPITAL EYE

金子陽亮CFO

  • (初値への受け止めの問いに) 長期の投資家に入ってもらうために相対的に大きめの流動性を、IPOであえて構成。他銘柄よりも株価が高騰するのは難しい環境だったと考えていたが、期待を超え大きく上昇した。
  • 競合と比較すると、メタバースや大型のスタジオ投資など長期投資をビジョンを持ち行っている。そういった長期目線に付き合ってもらえる投資家とコミュニケーションしながら安定的な上場市場での値動きを目指し、結果それ以外の投資家も我々の取引に関わり、大きな損やその様な思いをする事がないような流通市場の環境を目指したい。
  • (中国のYouTuber市場への問いに) VTuber以外も含めエンターテインメント全般について日本のプレーヤーが、今非常に活動しにくい状況。言葉を選ぶものの、中国大陸の展開のエンターテインメントの規制が強い状況にあり、日本アニメのパブリッシャーなども中国国内での展開が難しい状況が続いている。ただ、一方で中国語を話す人々という意味では、香港や台湾、マカオ、あるいは欧米にも中国語を話す顧客は大勢いて、我々のファンも非常に広く分布する。簡体字・繁体字圏に対し、我々のコンテンツをローカライズしコマースを拡大していく伸びしろは大きい。
  • (かつて中国進出していた経験かとの問いに) 文化圏として簡体字・繁体字圏に行くのは十分可能性があり、伸びしろとなる。一方、中国大陸で展開するとなった時に規制が強い状況、収益性の観点や優先度としてはやや劣後すると見ている。

谷郷元昭社長

  • (ANYCOLOR社と比べ、男性VTuberの数字がそれほどインパクトがないが、女性VTuberとの違いやどう伸ばしていくのはという問いに) 我々は女性VTuberが強く、ANYCOLOR社は男性VTuberが強いプロダクションで、それぞれの強みを生かした形でチャンネル登録者数が比例し存在する。これ以上はちょっと答えようがない。
  • (ANYCOLOR社に対する競合優位性の問いに) チャンネル登録者数の大きいVTuberを抱えていること。理由の1つは、コンテンツを多言語でしっかりローカライズしグローバルに提供している自社の努力。2点目はこれらをベースに、グローバルにファンコミュニティが存在すること。結果として、例えば日本人のVTuberに海外でも顧客がいる状況になっており、結果的にチャンネル登録数的には非常に大きいVTuberが存在している。
  • (営業利益率はANYCOLOR社が上回っているが、それはカバー社がスタジオやメタバースに投資しているからなのかという問いに) グッズのプロダクトミックスの違い。(想像の域を出ないので我々の事を説明すると前置きし) 我々が今まで行ってきたグッズ販売は、ANYCOLOR社が販売するようなグッズ展開ではなく、タレントの記念日等に販売する受注生産グッズを重要視してきた。背景として、こういったグッズはタレントへの収益還元が大きく、活動支援に繋がると考えていた。一方 ANYCOLOR社は、会社が主導するようなグッズを大きく企画・販売している。同社では今売っている物が沢山あり、タレントの記念日に紐づくようなケースはあまり展開していないと思う。我々も上場を機にコマースの展開を強化していく。例えば在庫リスクも取りながら、店頭やECサイトでファンになった人たちが、ファンになった瞬間買える商品を提供していきたい。今は機会損失しているような状況で、結果的に我々は利益率的には劣後している。
  • (今後のマネタイズについての問いに) 成長戦略の第2フェーズはコマース展開としているが、メディアミックス展開全般になる。これは中長期的に非常に大きなビジネスになっていく想定。メタバースに関しては2024年 (令和6年) ローンチになるが、本格的なマネタイズはおそらく2025年 (令和7年) 以降。主に2種類を想定。1つは今も実験的に実施しているライブでのマネタイズ。もう1つはいわゆるアバターの衣装販売を想定。
  • (海外戦略や事業の展開方針への問いに) 昨年度、海外のアニメ系の21イベントに出展し、ファン向けイベントを開催してきた。今年も18のアニメーションイベントに出展予定のほか、7月にはロサンゼルスで英語圏のタレントが出演する大規模なライブイベントも実施予定で、特に北米を中心に我々のプレゼンスやファンの熱量を高める。ライセンスについてもコマースについても、海外に関してはまだまだ需要に対して供給が追いついていない。海外向けライセンスビジネス強化や、コマースで海外の人に買ってもらいやすい商品開発などに力を入れていきたい。収益性面で、北米圏や東アジア、東南アジアという順番で非常に重要と見る。日本や東アジアのエリアはいわゆる課金意欲が高い顧客が多い点で重要だが、北米圏は人口が非常に大きいため非常に重要なエリア。東南アジアに関しては、足元の収益面での貢献はそこまで大きくはないが、中長期的に非常に成長している諸国として重要になってくる。
  • (ホロアースに関する問いに) 先ず、VR・ARへの対応は基本的には考えていない。あくまでFortnite (フォートナイト) やMinecraft (マインクラフト) のようなマルチプラットフォームのオンライン3Dコンテンツ。但し、例えばライブ体験だけをVRで提供することはあり得なくはない。ビジネスモデルは、基本的にはアバター課金が大きくなってくると見ている。コンテンツが非常に人気を得たあかつきには、そのなかでのUGC (User Generated Contents) の販売、あるいはUGCに限らないサードパーティコンテンツ販売の場所として機能していく可能性がある。
  • (AI VTuberは驚異かとの問いに) 人のVTuberとAI VTuberは、楽しみ方が別のもの。またAIは、例えばメタバース内やゲーム内での役割も、また違うものになってくる。今、人のVTuberは、あくまで1人ひとりは演じているのではなく、1人のクリエイターとして夢を持って活動し、それをファンの人達が応援することが、所謂コンテンツになっている。一方でAIのVTuberは、応援というよりはそれをどうやって皆で一緒により良いAI VTuberにしていくかという風にトレーニングしていく。ボーカロイドに少し近いコンテンツで、或いは、例えばメタバースのようなゲームの中でのAIは、誰かオンラインで接続しているプレーヤーがいなくても、自分の相手をしてくれるようなエージェントとしての役割を担うのではないか。それぞれ役割が違い、脅威というよりは、それ自体がVTuberやバーチャルの経済圏をさらに拡大していくような役割を担う。

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(P2y.jp 管理代表者「2号さん (仮)」/バーチャル・メタバース・VTuber情報)

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